我が愛すべき同行者たち
大家好(ダージャー・ハオ:皆さんこんにちは)!デザイナーの新田です。
本日、台湾に入境した日よりちょうど2ヶ月が経過しました。
右も左も分からずに行動していた当初より少しずつ周囲の環境や生活に慣れ始め、
買い物や飲食店での食事、公共交通機関を使用しての移動などの普段生活は何とか出来るものの、
そこから一歩踏み込んだ、より密で細やかなコミュニケーションを取るための言葉が発せない、
そして理解ができないもどかしさと不自由さをここ最近は特に実感しています。
(台中市街の西部・地上26階より、中心部を望む)
業務で使用する大型の外部ディスプレイやプリンターを含む生活道具一式が先日の船便で福岡から台中へ届き、
現在自分なりの生活スタイルを取り戻しつつある中で、
今日はそれらの荷物には入れられなかった(皆に心配された)我が愛すべき同行者たちをご紹介したいと思います。
181本のチランジア
祖父や両親の影響からか幼いころから植物に触れることが多く
大人になり増やし育ててきた屋内外で育つ数種の植物たちを東京から福岡へ移動させましたが、
ここ台湾へはそのうちの1種のみを持ち込み、一緒に生活しています。
(181PCS Living TILLANDSIA USNEOIDES Plants)
海外へ植物(生きた状態での野菜や果物含む)を持ち出す(または、持ち込む)場合は
植物内に存在する病害虫が渡航先に侵入することを防ぐために必ず「輸出(入)検査」を受ける必要があります。
同様に用土や苔などの付着物がある状態も認められていないため、
それらを必要とせず、水分で生きられる《チランジア(エア・プランツ)》ならば大丈夫だろうと
数種を段ボールに入れて農林水産省が管轄する福岡検疫所福岡空港検疫所支所へと持ち込んだところ……、
僕が所有する品種中では、過去に台湾へ持ち込めた実績があるものは そのうちの1種だけ 、
日本で一般的に売買されている品種の中には 世界的に見れば絶滅危惧の希少種がある ことなどを知りました。
ここで一番大変だったのは……、
束になっているチランジアを解き「何本あるか」を“正確に”カウントして申告すること。(滝汗)
個人所有物を移動させるだけであっても「国を跨げば、輸出入と同じ」ということを身をもって認識した瞬間でした!
その中から無作為に選んだ検体(チランジア)中の病害虫の有無を調べる検査を行い、
問題がないという証明書類を持って出国。
そして、台湾は桃園空港内において再び書類に記載されている内容確認と重量検査が行われました。
破棄処分されることなく無事に僕の手元に戻ってきたチランジアたちは、
台中の空の下、一本一本が風に揺られ、雨に打たれながら元気に生きています。
120年続く糠床
もう一つの同行者は、母方の家で120年以上続いてきた《糠床(ぬかどこ)》です。
これは間違いなく、僕が発酵食品に興味を持った大きな要因の一つ ですね。(笑)
米ぬかとは玄米の表面が削られ発生する粉で、
糠床となっているこの状態は「塩が添加され発酵している食品」であるため、
植物とは異なり同じ検疫でも厚生労働省管轄の場所での確認となりました。
日本の検疫所では「問題なし」として書類は作成されませんでしたが、
桃園空港では同じような日本人がいるのか、荷物から出して確認後、めでたく「合格」でした。
毒性やそれ以外の問題はなくとも、他の国や地域での空港においては
検疫時に破棄されてしまうこともあるそうです(匂いがありますからネ……)。
(台湾産のキュウリを漬け、新たに台湾は高雄産の《台東三十號》という品種の米糠を追糠したところ)
僕が実家から譲り受けてからの8年間は、塩や唐辛子、漬ける野菜はなるべく地のもの、
そして糠そのものにいたっては無農薬・無肥料で育てられた限りなく自然(野生)に近い状態の、
お米本来の香り高く、甘く、口当たりの柔らかなものを使ってきましたが、
ここ台湾で日本在住時と同じように拘り探すことは前述の通り、今の僕には難しいことと思います。
ですが、まずは“大事に守り育て続けながら食す”ことを優先させながら、
これまでこの糠床に手を入れてきた先祖の皆がビックリするような味を
ここ台湾で育てていけたらな、と考えています。
ちなみに──。
台湾には《臭豆腐(チョウドウフ)》と呼ばれる
発酵した液に漬けた豆腐を焼いたり揚げたりした定番グルメがあるのをご存じですか?
これには独特の発酵臭があり、台湾の人でも好き嫌いが分かれる食品だと聞いています。
これを好んで食す台湾人の僕の友人は、糠床の匂いに悶絶(納豆には涙目!)していました。
ぇ、僕にとって臭豆腐はどうだったか、ですって?
う〜ん、発酵食品愛好家としては……
こ、こ、これから、す、少しずつ慣れていきますッッ!(滝汗)
そして、いつか美味しいと思う時が来るでしょう……多分、多分ネ。