2040年 モノが余る未来がやってくる!新しい「宝物」はデジタルとステータス

伝統的なアートの魅力、そして新たな波
先日、私が住む街にあるMFAボストン(ボストン美術館)で開催されたゴッホの特別展に参加してきました。そこでは、色鮮やかな「セルフポートレイト」や「ルーラン一家のポートレイト」を見ながら、ゴッホの情熱と苦悩を感じることができました。生前は全く理解されなかったゴッホですが、今では世界中の人々が彼のアートと魂を理解しようと努力し、長い行列を作っていました。昔からアートには、さまざまな魅力がありました。たとえばゴッホの絵を買う理由は、「きれいだから楽しみたい」「価値が上がるから投資したい」「友達に自慢したい」「好きな画家を応援したい」など、人それぞれです。
私は伝統的なアートに加えて、デジタルアートも収集しています。デジタルアートはこれらの魅力に加えて、さらに進化しています。スマホやパソコンでいつでも楽しめるだけでなく、世界中にシェアできる。そして、デジタルならではの新しい「価値」も生まれています。
2040年、デジタルが当たり前の世界へ
2040年、私たちの生活はもっとデジタルにシフトしているでしょう。例えば:
- フェラーリをVRでリアルに運転し、満足する人が増えるかも
- ロレックスのデジタル時計が仮想空間で人気になるかも
- 高級ゴルフクラブの代わりに、メタバース上のデジタルクラブで交流
- グッチやルイ・ヴィトンのリアル服より、SNS用のデジタルファッションがトレンドに
- VRでハワイ旅行、自宅で世界のライブコンサートを体験
- キャラクターの権利がデジタルで取引される時代へ
現実世界の「価値あるもの」が、どんどんデジタルに移り変わっていくのです。
NFTとは? なぜこれから大事になるの?
ここで登場するのがNFT。NFT(Non-Fungible Token)は、デジタルアイテムに「これ、私のもの!」と証明するデジタル証明書のようなものです。
- たとえば、アーティストのデジタルアートをNFTで購入すると、世界中で「オリジナル所有者」として証明される。
- コピーが出回っても、本物はあなたのもの。
事例として、2021年にはアーティスト「Mike Winkelmann – Beeple-」のデジタルアートが約100億円で落札されたほど、NFTの価値は高まっています。

ポストスカーシティの世界がやってくる
2040年には、テクノロジーの発達で「生活に必要なもの」がほとんど無料か、超低価格になるかもしれません。これが、ポストスカーシティ(モノが余りまくる社会)です。
たとえば──
- ロボットが自動で農作業:AIと機械学習によって、農業ロボットが畑を耕し、種をまき、収穫まで全自動で行うようになります。人手がいらないため、食料生産コストが劇的に下がります。
- 3Dプリンターが家を建築:すでに世界各地で始まっていますが、大型3Dプリンターを使えば、数日で丈夫な家を低コストで建てることが可能です。2040年には、さらに素材革命(超軽量・高耐久素材)も進み、住宅費用は劇的に下がるでしょう。
- 太陽光・風力で電力もほぼ無料:太陽光パネルと風力タービンの発電効率は年々向上しています。エネルギー貯蔵技術(バッテリー)も進化しているため、発電コストはほぼゼロに近づき、電力が潤沢に供給される時代がやってきます。
さらに、AIの台頭がこの流れを一気に加速させます。
- AIが労働を肩代わり:農業、建築、製造、医療、教育、法律、会計──あらゆる産業でAIが人間の仕事をサポート、あるいは代替します。しかも、人間より速く、安く、正確にこなします。
- AIによる効率最適化:エネルギー使用、物流ネットワーク、農業の収穫サイクルなど、複雑なシステムをAIがリアルタイムで最適化します。無駄が減り、リソースの消費が最小化され、コスト削減が進みます。
- 生成AIで無限にコンテンツが生まれる:音楽、映画、アート、教育コンテンツなども、AIが自動生成する時代に。高品質なコンテンツが無料、もしくは極めて低価格で楽しめるようになります。
このように、ロボティクス・AI・エネルギー革命の三重奏によって、私たちは「モノやサービスに困らない社会」へと突き進んでいます。
(ただし、日本においては、このような未来が訪れるまでに先進国より少し時間がかかるかも知れません。その理由として、まず高齢者の割合が増加しているため、新しい技術の導入がゆっくりと進んでいることが挙げられます。また、政府によるルールや規制の整備も、なかなかスピーディーに進んでいないのが現状です。たとえば、AIやロボットを介護の現場で活用するというアイデアはすでに存在していますが、実際の準備が整うのはまだ先になる可能性が高いでしょう。)
しかし、そんな時代になると──
誰でも手に入るものには価値がなくなります。
では、何が価値を持つのか?
未来に価値を持つ「3つの宝物」──ポストスカーシティ時代に残る本当の希少性とは?
ポストスカーシティ社会では、テクノロジーの進歩によって、食料、エネルギー、住居といった生活必需品が極めて安価または無料に近づきます。その結果、従来の物質的な希少性は価値を失い、「意味(ストーリー)」や「社会的地位」と結びついた新たな希少性が、価値を生み出すようになります。
ここで、未来において本当の価値を持つ「3つの宝物」を詳しく見ていきましょう。
① プレミアムな不動産
理由:位置的希少性と社会的ステータス
- 土地の総量は有限であり、例えばにロンドン、マンハッタン、バルセロナなど「超一等地」は、生産技術やロボットでは複製できません。
- これらの場所は、経済活動、文化交流、人的ネットワークのハブとして、ポストスカーシティでも重要な役割を果たし続けます。
- また、プレミアムな不動産は単なる物理的資産ではなく、所有者の社会的地位や影響力を象徴する「ステータス財」として機能します。
さらに、歴史的・文化的背景を持つ物件(例:パリのシャンゼリゼ通り沿いの物件、ローマの歴史地区の建物)は、物質的豊かさの時代にこそ「ストーリー」としての価値が高まるのです。
② 特定の仮想通貨(ビットコインやイーサリアムなど)
理由:自由と希少性の象徴
- ビットコインは最大供給量が制限されており、新たに無限に発行されることがありません。
- イーサリアムは銀行や政府の管理を受けない自由なデジタル資産(非中央集権的)の経済圏を作り、所有者の経済的自立を体現します。
- 物質的ニーズが満たされ、国家や企業への依存が薄まるポストスカーシティ社会において、人々は「誰にも支配されない資産」を求め、これらの希少性と自由性が強く支持されるでしょう。
自由で限定された資産という属性は、未来においても強力な価値を持ち続けるのです。
③ 希少なNFT(非代替性トークン)
理由:デジタル所有権と社会的アイデンティティ
- NFTは、ブロックチェーン技術によって、デジタルデータ(アート、音楽、仮想土地など)の唯一無二の所有権を保証します。
- ポストスカーシティでは、物理的なモノが飽和する一方で、「自分だけのもの」「世界でひとつ」を求める欲求が高まります。
- NFTは、メタバース空間での土地、アバター、ファッション、さらには限定コミュニティへのアクセス権など、デジタル世界での地位とアイデンティティの証となります。
また、NFTは単なるデータ以上の意味を持ちます。所有者は、自分の趣味や価値観、社会的つながりをデジタル上で示し、それが新たな「ステータス」となるのです。
2040年に世界から注目を集めそうな「未来の宝物」
- プレミアムな不動産
- 特定の仮想通貨(ビットコイン、イーサリアムなど)
- 希少なNFTやトークン(デジタルアート、メタバースの土地、特別なメンバーシップ)
近い将来、仮想通貨とNFTは、かつての高級車や高級時計のように「特別な宝物」として輝きます。未来の自由市場で、あなたらしいステータスや仲間意識を手に入れることになるでしょう。ちょっと、NFT、調べてみてください。
Yoshikazu Tsugiyama