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取るに足らず望ましい片鱗

up to date : 2017.03.31 Fri

チャンバラものがまだ全盛期だった頃だろうか。

「斬り捨て、御免!」と役者が威勢良く言い放ち、刀を振り上げる。

この台詞を面白がって文章を嗜む人が「書き捨て御免」という言葉を作った。

この言葉がなかなか傍若無人で好ましい。

茶化した風でもあるのに意気揚々としている。

私は絵を描く人間だから「描き捨て御免」といったところだろうか。

会社に最近、そんな大仰ではなく、でも捨てるには偲びない魅力的な断片を貼る空間を作った。

捨てられていてかつ、気に入った作画を私が拾って壁に貼るようになったのが始まりである。

 

白く広い空間を見つければ、「呼ばれている」と勝手に思い込むのが絵描きの習性であるから。

 

ゴミ捨て場に置かれていたのを命拾いした黒猫の酒瓶と野草や私の自宅の鉢植えの切り落としを飾る瓶。

 

朝、植木さんからいただいた大きなイチゴを中村さんがスケッチした水彩。

高橋の漫画落書き。

 

「神は細部に宿る」と言ったのは美術史家、アビ・ヴァールブルクだそうだが、日常の細部にももちろんアイディアや創作の息吹は付随する。

今はイラストだけだが、見つけた会社のみんなの切れ端をそれとなく貼ってこの壁を面白いものにしたいと思う今日この頃である。

category :   |  posted by : shiori takahashi